「茶殻」とは、お茶を何度も煎じ出したり煮出したりして、味や香の薄くなった茶葉のことです。
出がらしという言葉もありますが、厳密には、出がらしは飲み物としてのお茶を指し、茶殻はお茶を煎れたあとの茶葉のことを指します。
この役目を終えた茶殻はゴミとして捨てればいいのですが、もったいないです。
タンパク質やカロチンなどの有効成分がたくさん残されているからです。
まだまだ茶殻には活用法があるのです。
今回は、この「茶殻」の再利用法をご紹介しましょう。
茶殻でアロマ(消臭・脱臭)
茶殻には、消臭効果があるため、乾燥剤や脱臭剤の役割をしてくれます。
特に紅茶の茶殻は有効だといわれます。
【茶殻で消臭・脱臭剤を作る】
それでは茶殻の消臭剤の作り方をご説明しましょう。
1.お皿にキッチンペーパーをひき、茶殻を広げて水気を切ります。
2.それを電子レンジで2,3分回チンします。色も茶色くならず衛生面でも安心です。
3.この乾燥した茶殻を手でもんだりミルでひいたりして使います。それをガーゼやストッキングにくるむだけです。
茶殻の消臭効果は、約1、2週間は持続するので、その後はこまめに取替えましょう。
【下駄箱や靴・ブーツの抗菌・脱臭剤に】
充分乾燥させた茶殻のはいった小袋を、1日履いた靴やブーツの中に入れておくと、乾燥・脱臭効果が期待できます。
下駄箱の中に置いておくだけでもいいですね。
【冷蔵庫の脱臭に】
冷蔵庫のニオイが気になる方にも、乾燥させた茶殻のはいった小袋を冷蔵庫に入れておくと脱臭効果が期待できます。
できるだけ水分を絞った茶殻を容器に入れ、フタをしないで冷蔵庫に入れておくだけでも脱臭効果があります。
【電子レンジの脱臭に】
電子レンジは和食を温めたり洋食を調理したりなど、いろんなニオイがたまります。
お皿に乾燥させた茶殻のはいった小袋を載せてチンすれば、電子レンジの脱臭効果を得られます。
【玄関・トイレの消臭に】
人の目に触れる玄関やトイレには、乾燥させた茶葉を綺麗な袋やガラスの容器にいれて飾っておくと消臭剤として再利用できるだけでなく、インテリアにもよいでしょう。
【茶殻枕に】
そばがらの代わりに、よく乾燥させた茶殻を木綿の袋に詰め込みます。
お茶の抗菌作用で衛生的です。しかも、ほのかなお茶の香りでリラックスでき、ぐっすり眠れます。
茶殻枕はまめに天日干しし、香りがなくなったら茶殻を交換しましょう。
茶殻を油汚れなどの掃除に活用
茶葉の成分に含まれるタンニンは、脂肪を分解させる効果があるため、面倒なグリル周りのお手入れやレンジの油汚れを取り除くのに最適です。
用途ごとの茶殻の使い方は次のとおりです。
【フライパンの軽い油汚れに】
絞った茶殻を直接スポンジ代わりに使うと楽に汚れが落とせます。
【魚の臭いや油がこびりつきやすいグリルの網の受け皿に】
茶殻を絞って敷き、水を入れて魚を焼くと、後片付けが楽になり、且つ、嫌な臭いも取れます。
【流し台(シンク)の部分洗いに】
使い終わった紅茶のティーバックをそのままこすり付けてシンクの部分洗いに使います。
油分がとれるうえ、脱臭にもなります。
【生臭いまな板に】
魚や肉をさばいた後のまな板には生臭さが残ります。
そんなときには、まな板を茶殻で洗うと、脱臭と殺菌の効果が得られます。
【フローリングに】
紅茶の茶葉を煮詰め、抽出した液でフローリングを拭くと、長持ちするといわれます。
【ほこり掃除に】
生乾きの茶殻を、畳や床の上にまき、ほこりをほうきで集めるように掃くと、茶殻の湿り気で茶殻に小さなほこりがくっつくので、ほこりを押さえ、同時に部屋を消臭します。
茶殻を佃煮やふりかけにして食べる
じつは茶殻は栄養の宝庫なのです。
お茶の成分の中には、水溶性のものと不溶性のものがあり、水に溶け出すカテキンやアミノ酸、カフェイン、ビタミンB、Cなどは、お茶を飲むことで摂取することができます。
しかし、ビタミンA、クロロフィル、植物繊維、タンパク質などは水に溶け出さないため、茶殻に残ったままになります。
このような栄養素の残った茶殻を料理に使い食べるのが、お茶にある栄養をすべて吸収するには一番です。
【佃煮】
茶殻は、煮崩れしにくいため佃煮に適しています。
小粋な酒の肴になります。
【ふりかけ】
茶殻をフライパンで空炒りし、ミキサーにかければ青海苔感覚のふりかけになります。
いりこや醤油と和えたり、じゃこや桜エビなどと合わせると、いっそう風味ゆたかになります。
【てんぷらの衣】
茶殻を干したり炒って乾燥させ、粉末状にした後、衣に混ぜ天ぷらや揚げ物にします。
お菓子やケーキの生地に混ぜてもよいでしょう。
【パウンドケーキ】
乾いた茶殻を粉にし、パウンドケーキを焼きます。
抹茶よりもさわやかで、それでいてお茶の甘さが残るのがいいです。
茶殻を肥料や堆肥で有効活用
茶殻は、植物の肥料にも最適と言われています。
【茶殻をそのまま肥料として使う】
茶殻の水気を切って、植木鉢やプランターなどの植物まわりに振りかけ、軽く混ぜておきます。
茶殻に残っているお茶の成分が肥料の役割をはたしてくれます。
天日に干してお日さまを燦燦と浴びた茶殻は、良質の肥料に変身します。
これを植物の根元に撒きます。
こうすることによって、葉の色が濃くなったり、艶が出たりします。
【茶殻から液体肥料を作る】
茶殻をもう一度煮出して、それを完全に冷まして液体にします。これだけで液体肥料の完成です。
これを植木にかけます。
すると、葉の勢いがよくなり、成長が促進されます。
【茶殻と野菜ぐずで堆肥を作る】
茶殻と生ゴミで一番多い野菜くずが材料です。
1.茶殻も野菜くずも充分に水切りをします。
2.水分調節として、庭のある人は草むしりした雑草を乾かしておいて混ぜましょう。
紙くずなどを細かくして入れても良いでしょう。目安は、指で押しても水がにじみ出ないくらいです。
3.庭に少し深めの穴を掘ります。
4.掘った穴へ茶殻や野菜くずで作った材料をよく混ぜて入れ、その上に土をかぶせます。夏場は少し多めの土をかぶせた方がよいでしょう。動物に荒らされたりハエが飛んでくるのを防ぐために、穴にはフタをしたほうが無難でしょう。
5.次に新しい材料を入れるときには、まず穴の中をよくかき混ぜてから、その上に追加して土をかぶせます。
6.穴がいっぱいになったら、時々かき混ぜながら、半年から1年置くと完熟した堆肥になります。
これを繰り返します。
【ペットボトルを使った茶殻堆肥作り】
庭がない方は、穴の代わりにペットボトルを利用して堆肥をつくることもできます。
1.ペットボトルを上下半分くらいの箇所で切って、上半分を上下反転させて下半分にはめ込みます。
上半分がロートみたいになるのがミソです。余分な水分が出ても下に落ちます。
2.下から順に、土→腐葉土・枯葉→材料→腐葉土・枯葉→材料…と層を重ねるようにペットボトルに入れていきます。ぎゅうぎゅう押しながら入れていきます。各層の厚みは数ミリ程度にします。
3.一番上の層は「土」になるようにします。
この一番上の層の土を厚めにすると、臭いが漏れにくくなっていいでしょう。
4.虫の侵入を防げるために、布を一番上の層の上に被せ、さらにキッチンネットをペットボトルの口を覆うように被せます。これを直射日光の当たらないところに置きます。
5.発酵が始まると、ペットボトルが暖かくなります。
6.1ヶ月ほど経ったら、中身を新聞紙の上やバケツなどに出して、発酵の具合を確認しましょう。
茶殻や野菜くずがほぼ原形をなくして黒っぽくなったら堆肥の完成です。
まとめ
茶殻は、消臭剤・脱臭剤に変ったり、油汚れをとったり、おいしく食べられたり、肥料になったり大変身させることができます。
このすばらしい茶殻を捨てることなく大活躍させましょう。
エコに貢献することにもなります。